エスペラント語ってどんな言葉?

エスペラント語とは「究極の暇つぶし」

「北サーミ語はサーミ人の言葉です。ウィルタ語はウィルタ人の言葉です。ナバホ語はアメリカのナバホ族の言葉です。さて、エスペラント語は?」

エスペラント語とはどこかの国でしゃべられているわけでもないし、どこか特定の民族で使われているわけでもない、「わけでもない」づくしの言葉です。しかしながら、世界のどこかでインターネットやなんとなく手にとった教科書で勉強した人が、ふらっと集まってきて、地球の大きなコミュニティーの一つになることができる可能性や創造性を秘めた言葉だとも言えるでしょう。それらに希望やおもしろさを見出す人たちは、継続してエスペラント語を勉強し何かをやろうとしてきました。

エスペラント語は勉強すれば経済的に役立つのでしょうか?例えばフランス語や英語などはうまくなればなるだけ、よい資格証明を取れば取るだけ、社会での経済的地位向上が望まれる可能性がありますが、実際にエスペラント語はそのような保証はありません。ただし、執筆活動や教育面でエスペラント語を使って収入を得ている人たちもいることは事実なので完全に否定はできません。

また、勉強すれば他の言語の構造も気になってきます。そして、世界中にあるエスペラント語ー他の言語の辞書が扱えるようになるのはエスペラント語を喋れる人の特権です。

エスペラント語の歴史はエスペランティストと呼ばれる、夢見る暇人たちによって積み重ねられてきています。世界中の国の人と文通したり、地球上に自分たちの国の状態を知ってほしいとニュースを流したり、中には世界平和を実現しようと本当に自分の人生をかけてしまう人もいます。エスペラント語はそのような「命懸け」をするための格好のツールになってきました。すなわち、エスペラント語とは地球上にある「究極の暇つぶし」の一つと言えるでしょう。

エスペラント語はどこから来たのか

最近エスペラント語が使われていると聞いたゲームが発売されました。「ゲームを買うなんて久しぶり」なんて考えながら、パリパリとゲームの箱を保護しているビニールを破くと下記のようなかわいらしいパッケージが顔を出します。

ゲームに人工の言語が使われている、というのは不思議な感覚ではないでしょうか。そもそも、人工物である以上、誰ががどれくらい前に作ったのかというのが気になるかと思います。

エスペラント語は130年程前にポーランド出身のルドヴィコ・ザメンホフというひげのおじさんによってデザインされた人工言語です。ドイツ語やロシア語、イディッシュ語などたくさんの言葉が話されていたビャウィストクという地方都市では言語が、違った民族のいさかいの種となっていました。ある日、そんな町に暮らしていたおじさんは突飛なことを思いつきました。

──自分で言葉を創って、それをみんなで第二言語として話せば平和になるんじゃないのか?

その結果、できたのが「エスペラント」という言葉でした。エスペラントには「希望する者」という意味があります。ヨーロッパの主要な言葉をかけあわせてできた、英語のような例外ばかりではなくシンプルに、かつ人間の言葉のような意思疎通のための柔軟さを兼ね備えた言葉が出来上がったのでした。それがエスペラント語の誕生、1887年のことです。

21世紀のエスペラント語

「人工の言葉ってちゃんと人間同士の会話に使えるの?」という質問はよくある質問の一つです。ベトナム人で東京で勤務するグエンさんはインタビューにこう答えています:

エスペラントのおかげで仕事関係以外の多くの友人に出会うことができ、日本にやってきた1年目から本当に充実した生活を送っています。…エスペラント語が、こんなふうに自分の世界を広げてくれるとはまったく予想していませんでした

(『通い合う地球のことば 国際語エスペラント』一般財団法人日本エスペラント協会, 2016,p.8)

youtubeなどではエスペラント語を勉強した人たちが自分たちがエスペラント語でしゃべってところを撮影し、アップロードしています。例えばアイルランドのダブリンでアイルランド人とロシア人がエスペラント語で会話する、というようなビデオもあります。

このようにエスペラント語は人工の言語ではあるものの、立派に人と人とのコミュニケーションに役立てることができます。

エスペラント語は発明されてから130年の間、世界史の影で活動し続けました。チャップリンの映画にも登場したし、新渡戸稲造からも大プッシュされたし、宮沢賢治の作品にもエスペラント語の影響を受けた表現がたくさん出て来る。『銀河鉄道の夜』なんか特に有名で、岩手をもじってエスペラント語化した「イーハトーヴォ」なる地名として登場しています。1966年には『インキュバス』という全編エスペラント語というホラー映画も作られました。

そして先日には『ことのはアムリラート』が登場しました。従って、21世紀になり、今まで地方史のような扱いであったエスペラント語を使った運動(エスペラント運動)は大きく形を変えた、と言えるでしょう。インターネットの発達によって、エスペラント語は国境を越えた教育のツールとして、創作活動のためのツールとして大きく姿を変えたのです。

どう使うかはあなた次第

現在ではオンラインで”Lernu!”、無料の携帯アプリの”Duolinguo”、日本エスペラント協会が監修している「ドリル式」でエスペラント語が容易に勉強できるようになりました。”Duolinguo”には英語版、スペイン語版を含めるとおよそ120万人の登録者がいます。また、”Amikumu”や”Facebook(E語:”Fejsbuko”)や”Twitter(E語:Tvitero)”などをのソーシャルメディアを駆使すれば瞬く間に世界中、国籍、民族問わず、あらゆる人とコニュニケーションが取れます。また頑張ってボーカロイドを「調教」すれば、どこの国のイメージにも捉われない、不思議な雰囲気の歌をボーカロイドが歌ってくれます。

あなたはエスペラント語を勉強して何に使いますか?国際交流、小説の執筆、政治活動、それとも文字を書いてデザインに?エスペラント語でユーチューバーデビュー?『ことのはアムリラート』の二次創作小説を全文エスペラント語で書きたい?「究極の暇つぶし」があなたにもたらす可能性は無限に広がっています。

JEJ(日本青年エスペラント連絡会)はそんな究極の暇つぶしをゆるく応援します。エスペラント語で真面目に少数民族言語の保護・啓蒙活動をする人もいれば、エスペラント語を社会学の研究対象にする人もいます。そういうお固い分野だけでなく友達を世界中に増やしたいから、旅行したいからというささやかな興味からメンバーになっている人もいます。エスペラント語に興味があるだけで十分です。あなたの感性で世界を少し変えていきませんか。

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(更新日:2017/09/11 S.M.)
アイキャッチ画像の元リンク:https://en.wikipedia.org/wiki/Esperantist#/media/File:IJK_2008_1.JPG