ユリアーモ体験記初日 Unua Tago

「ゲームを買うなんて久しぶり」なんて考えながら、パリパリとゲームの箱を保護しているビニールを破いた。今日、著者のDometoに発売されたばかりの『ことのはアムリラート』が届けられた。

我ながらに思うが、よもやこの歳になってからゲームを買うなんて思っていなかった。最後に買ったのはいつだったかよく覚えていない。ただ、ファミコン全盛だったころは手のひらにずっしりとのしかかるソフトの重さとパッケージの箱の綺麗さに未知なる冒険を想像し、空想の世界に旅立っていったものだった。
ところがゲームということは同じだが、大きく違うことがある。このゲームが子供の頃買っていたジャンとは打って変わって「純百合アドベンチャー」というジャンルに属していることだ。おそらく若き日の著者を知る人たちがそれを知ったら大変に誤解されるだろう。「この人は勉強のしすぎで頭がどうにかなってしまったに違いない」、「『魂斗羅スピリッツ』のやりすぎだ」と。

ここで、このゲームを買った言い訳をさせて欲しい。それはこのゲームで「エスペラント語」が使われているからだ、ということになる。
「エスペラント語」とは何だろうか。それは130年程前にポーランド出身のひげのおじいさんが設計した人工言語である。たくさんの言葉が話されていたビャウィストクという地方都市では言葉が違った民族のいさかいの種となっていた。そのおじさんは突飛なことを思いつく。

──自分で言葉を創って、それをみんなで話せば平和になるんじゃないのか?

その結果、できたのが「エスペラント」という言葉だった。エスペラントには「希望する者」という意味がある。ヨーロッパの主要な言葉をかけあわせてできた、英語のような例外ばかりではなくシンプルに、かつ人間の言葉のような意思疎通のための柔軟さを兼ね備えた言葉が出来上がったのだった。
それから130年の間、エスペラント語は世界史の影で活動し続けた。チャップリンの映画にも登場したし、新渡戸稲造からも大プッシュされたし、宮沢賢治の作品にもエスペラント語の影響を受けた表現がたくさん出て来る。『銀河鉄道の夜』なんか特に有名で、岩手をもじってエスペラント語化した「イーハトーヴォ」なる地名として登場している。1966年には『インキュバス』という全編エスペラント語というホラー映画も作られた。

そして先日の『ことのはアムリラート』に時代が到達する。このような歴史の上にこのゲームで使われる言語は存在しているのである。

「人工の言葉ってちゃんと人間同士の会話に使えるの?」という質問はよくある質問の一つだ。ベトナム人で東京で勤務するグエンさんはインタビューにこう答えている:

エスペラントのおかげで仕事関係以外の多くの友人に出会うことができ、日本にやってきた1年目から本当に充実した生活を送っています。…エスペラント語が、こんなふうに自分の世界を広げてくれるとはまったく予想していませんでした

(『通い合う地球のことば 国際語エスペラント』一般財団法人日本エスペラント協会, 2016,p.8)

また、youtubeなどではエスペラント語を勉強した人たちが自分たちがエスペラント語でしゃべってところを撮影し、アップロードしている。例えばアイルランドのダブリンでアイルランド人とロシア人がエスペラント語で会話する、というようなビデオもある。

このようにエスペラント語は人工の言語ではあるものの、立派に人と人とのコミュニケーションに役立てることができる。

ところで、もうあなたは『ことのはアムリラート』のソフトを買っただろうか?取扱説明書がついているのだが、簡単な文法書や単語集の役目を果たしており、ユリアーモ文字に慣れれば皆さんもエスペラント語の世界に簡単に足を踏み入れられる。そして、ゲームをクリアする頃には実際のエスペラント語の知識も身につく(はず)という、実学につながる側面をこのゲームは持っている。

ここで一つ。不定期にではあるが、ゲームのプレイ日記を投稿しようと考えているが注意点がいくつかある。それは下記の通りである:

1.ストーリーやキャラクターのかわいさなどには言及しない(はず)
2.どちらかというとゲーム内の文法がメイン
3.エスペラント語(や多文化)の視点からブログをつける

多くのプレイヤーの方々はルカとのコミュニケーションをどうしようかと頭を悩ませているに違いない。しかし、残念ながらゲームの中の凜と異なり、筆者はユリアーモでの会話に不自由していない。従って、グッドエンディングを迎えられるかどうかは別として、皆さんがよりよくエスペラント語/ユリアーモを楽しめるように影でこっそりとエスペラント語の補講をすることが最大の役目ではないかと捉えている。

このような姿勢の体験記兼ユリアーモの補講であるが、楽しんでいただけたら幸いだ。さきほど著者は次のようなユリアーモに遭遇した次第である:

──ボンヴォール エンヴェーニ(どうぞお入りください)

そして、こうも付け加えておこう:

──エン モンドン デ エスペラント(エスペラントの世界へ)
>2日目に行く

 

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